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  2. 血栓症と抗凝固療法
  3. 重症筋無力症と胸腺腫
  4. 呼吸機能検査
  5. 難治性肺胞瘻と第XIII因子について
  6. 縦隔腫瘍
  7. 腫瘍マーカー CA19-9
  8. MRIの特性
  9. 非小細胞肺癌の補助化学療法
  10. 輸液の基礎知識

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研修医宿題

呼吸機能検査

柏本 錦吾


呼吸機能検査では主にゆっくり吸ったり吐いたりするスパイロ・グラム検査(主に肺活量を調べる)と、一気に吐くフロー・ボリューム検査(主に一秒率を調べる)がある。

1スパイロ・グラム

肺の容量は下図に示すように分類されている。


VC(vital capacity)・・・肺活量。
  最大に息を吸った状態から、ゆっくりと可能な限り息を吐いたときの呼出量 ( =TV+IRV + ERV)。 予測値の80%以上が正常。

ERV(exipiratory reverse volume)・・・呼気予備量
  安静呼吸気位から、最大呼出によって得られる呼気量。

TV(tidal volume)・・・一回換気量
  安静呼吸時の吸気と呼気の気量.

IRV(inspirary reverse volume)・・・吸気予備量
  安静吸気位から、さらに最大吸気によって得られる吸気量 。

IC(inspiratory capacity)・・・最大吸気量
安静呼吸の呼気状態からできるだけ吸気したときの吸気量 ( = TV + IRV )。

RV(residual volume)・・・残気量。
できる限り呼出してもなお肺の中に残存する気量。 この検査で測定できない。

残気量を測定するためには、ヘリウム希釈法やN2洗い出し法、あるいは体プレチスモグラフ法などを使った測定方法が必要。

FRC(functional residual capacity)・・・機能的残気量
安静呼気状態(呼吸筋に全く力が入っていない状態)における肺内気量。( = ERV +RV)。RVが入っているので直接測定できない。

TLC(total lung capacity)・・・全肺気量
最大吸気時に肺内に存在する気量。 ( = IC + FRC , IRV + TV + ERV + RV ) RVが入っているので直接測定できない。

2フロー・ボリューム検査

 最大努力呼出を行った時の息を吐くスピード(流速、flow)と容量(volume)変化を記録し、努力肺活量を調べる。

努力呼出時の気量を横軸に、その気量に対する気速(フロー)を縦軸に表したもの。赤色が正常人の曲線で、黒色は喘息の人の曲線。横軸より上は呼出、下は吸入についてのグラフ。強制呼出の最初のほうは呼気努力の影響が大きくなるが、後になるに連れて本人の呼気努力とは無関係になっていく。また、呼出が進むほど、流速は末梢気道の状態に規定される。

次に略語の解説を行う。

PEFR(peak flow rate)・・・最高瞬間呼出速度

V50=FEF50・・・肺活量の50%の気量位における気速。

V25=FEF25・・・肺活量の25%の気量位における気速。

V25、V50は比較的細い気管支の閉塞状況を調べるのに役立つ。

V50/V25・・・V50とV25の比。2より大きいとフロー・ボリューム曲線の下降脚が下に凸。この比が3以上だと異常とされ、これも末梢気道病変の存在を示唆。

FVC(force vital capacity)・・・努力肺活量。
最大吸気位から一気にできるだけ速く、最大の呼気位まで呼出することにより得られる。

FEV1(Forced Expiratory Volume in 1st second)・・・一秒量。1秒間に呼出できる量。

FEV1%・・・一秒率。
努力肺活量の何%を1秒間に呼出することができたか。70%を下回ると、気道が狭く息が吐きにくくなっている。(閉塞性障害)

FEV1%=FEV1/FVC×100

MMF(Maximum Mid-expiratory Flow Rate)・・・最大中間呼気速度

 縦軸に呼気量、横軸に時間を とった強制呼出曲線で、呼気の開始点から25%および75%呼出した2点間の平均呼気速度。グラフ上で上記の2点をとって結んだその勾配の値。

FEV0.5・・・0.5秒間に呼出できた呼出量。

FIV 0.5・・・0.5秒間に吸えた吸入量。


Jan 16, 2005

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