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  1. 下剤
  2. 血栓症と抗凝固療法
  3. 重症筋無力症と胸腺腫
  4. 呼吸機能検査
  5. 難治性肺胞瘻と第XIII因子について
  6. 縦隔腫瘍
  7. 腫瘍マーカー CA19-9
  8. MRIの特性
  9. 非小細胞肺癌の補助化学療法
  10. 輸液の基礎知識

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研修医宿題

縦隔腫瘍

常塚 啓彰

 

縦隔腫瘍の好発部位

前縦隔:心膜前縁より前方
     胸腺種、胚細胞性腫瘍、悪性リンパ腫、甲状腺腫

中縦隔:前縦隔と後縦隔の中間
     悪性リンパ腫、サルコイドーシス、結核、気管支のう胞

後縦隔:心膜後縁より後方
     神経原性腫瘍、横隔膜ヘルニア、膵偽のう胞、外側性髄膜ヘルニア

上縦隔:胸骨柄と第4胸椎体下縁を結んだ線より上方

胸腺腫thymoma

前縦隔腫瘍の中で最も頻度の高い腫瘍である。被膜の有無と隣接臓器への浸潤の状況により限局型(良性)、浸潤型(悪性)に区別する。

限局型:円形あるいは楕円形を示し、内部構造は筋肉などの吸収値に等しく、ほぼ均一である。辺縁は平滑で後方の大血管とは縦隔脂肪層で明瞭に境されている。造影CTでは均一な増強効果を示すが内部の小葉構造が明瞭になることが多い。

浸潤型:不整形の形態が加わり、胚との境界面の凹凸不整や縦隔内脂肪層への浸潤が所見が見られるようになる。胸膜や心膜への播種など胸郭内の他部位への進展も重要な所見である。部分的な出血や壊死による低吸収域の出現、石灰化も限局型より増える。

胚細胞性腫瘍germ cell tumors

前縦隔に好発する。胸腺由来と考えられ、その90%が成熟(良性)奇形腫である。その他は悪性とされている未熟奇形腫、精巣上皮腫、胎児性癌、卵黄のう癌、絨毛癌などが含まれる。いずれもAFPやhCGなどの腫瘍マーカーが高値を示すことが多い。

成熟奇形腫:腫瘍内部が脂肪成分と液体成分による低吸収値とその他の充実性成分や石灰化よりなる不均一な吸収値を示す。液体と脂肪で形成される液面:fat-fluid levelを証明できることがある。約5%は後縦隔にも発生する。

未熟奇形腫:肺との境界面の明らかな凹凸不整や、胸壁への浸潤を示す。

精巣上皮腫等にはそれぞれに特徴的なCT所見はない。

悪性リンパ腫malignant lymphoma

前縦隔では胸腺内のリンパ組織から発生するとされている。胸腺腫・癌との鑑別が問題となる。

前縦隔でも中央を中心に左右対称的である。

石灰化を認めない。

造影剤により不均一な増強効果を示し、低吸収域が島状に残る。

心横隔膜角も好発部位の一つである。

臨床症状も参考となる。

甲状腺腫

前縦隔の上に位置する腫瘤でまず疑うべき疾患で、中縦隔に及ぶものが多い。CTでの特徴は頚部の甲状腺と連続している。ヨードを含んでいるため軟部組織より高い吸収値を示しうる。点状・輪状の石灰化の存在などある。造影剤の投与により内部に増強されない境界明瞭な低吸収域を残すことが多い。肺との境界は明瞭で、発育し気管と食道の間に入り込むような形態を示す。

気管支のう胞bronchogenic cyst

気管支系の先天異常の一種であり、気管分岐部に好発するが、後縦隔に跨るものが多い。円形・楕円形を示し内容物はクリームあるいはチョコレート色の粘稠で泥状の液体で満たされている。内容物にCaが含まれており、CTでは漿液性の液体より高い、充実性あるいは石灰化様の吸収値を示すことが多い。造影によりCT値が変化しない。

MRIでは内容物の豊富な蛋白成分や出血による目とヘモグロビンを反映してT1・T2ともに均一な高信号を呈するものが多い。

神経原性腫瘍neurogenic tumors

乳幼児期には神経芽腫、神経節腫、神経節芽腫が見られ、腫瘍は上下に紡錐形をとることが多く、充実性の吸収値を示す。石灰化や肋骨の圧排、破壊の所見を伴うことが多い。

成人では、神経鞘腫、神経線維腫が見られ、球形に近く神経孔の拡大を伴うこともある。通常は均一な充実性の吸収値を示すが内部が壊死に陥ったものや出血を伴うものは低吸収域が中央部に出現し、いわゆるfluid-fluid levelを呈することもある。


March 14, 2005

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